なぜ人は簡単に手に入るものに興味が湧かないのか
人は簡単に手に入るものに興味が湧かない
どこでも売っている、もしくはいつでも買える商品は魅力的に見えない。
地域限定販売とうたいながら、どこにでも置いてあるお土産を観光客は買おうとしない。
わざわざ全国各地から人が集まるような観光スポットに、地元の人たちは積極的に行こうとはしない。
片思いのうちはその人のことが気になってしかたがなかったのに、恋人関係が成立した途端、相手に対する興味が失われてしまう。
こういった経験、実感は誰にでも少なからずあると思います。
では、この原因は何なのか。
僕自身長年気になりながらも今まで真面目に考えたことがなかったので、今回は書きながら探っていきます。
まず、これらの現象に共通していえるのは、「人は簡単に手に入るものに興味が湧かない」ということ。
裏を返せば、「手に入りにくい(もしくは永遠に手に入らない)ものに、人は興味を持ち、魅力を感じる」ということです。
制限することで価値が高まる
「障害があった方が、恋愛は盛り上がる」とよく言われるように、人は手にする機会が少ないものを価値が高いと見なす傾向があります。
希少=価値ということ。
この考え方は、「手に入りにくい(もしくは永遠に手に入らない)ものに、人は興味を持ち、魅力を感じる」ということにつながります。
実際に、数、時間・期間、対象などを制限することにより希少性を高め、人の購買意欲を刺激する方法は、マーケティングなどでもよく用いられています。
例えば、「先着○○名まで」「タイムセール」「期間限定」「会員限定」などといったものが、まさにそれ。
この人間の行動心理を利用した一例だと言えます。
なぜ希少=価値なのか
ではなぜ人は希少=価値とみなすのか。
もちろん、
「希少なものを持っていると優越感に浸れるから」
「他人から羨望のまなざしを得られるから」
「希少なものは質が高い」
といった単純な理由もあると思います。
でもここでは、これらとは少し違ったアプローチをしたい。
それは「人は常に充実感、達成感を求めている」という考えです。
簡単に手に入るものは、たとえ手に入れたとしても充実感や達成感を味わうことはできません。
しかし、手に入りにくい(もしくは永遠に手に入らない)ものは、手に入れるために何らかのアクションが必要になり、そのアクションを行うことで人は達成感や充実感を感じることができます。
どこでも売っているわけではない、もしくはいつでも買えるわけでもない商品は、買うために場所や時間の制限を受けるため、その制限をクリアするために、人はアクションを起こさなければならない。よって人はそれらに価値を感じる。
観光客は、自分の住む場所から観光地まで移動するというアクションを行ったため、観光先でのイベントや場所、お土産などに、地元の人たちよりも大きな価値を感じる。
片思いのうちはその人に振り向いてもらうためにいろいろなアクションを起こすため、そのアクションの原動力となり、達成感・充実感を与えてくれる想い人がより魅力的に見える。
といった具合です。
つまり、
希少=アクションを要する=達成感や充実感を感じられる=価値
なのではないかと思います。
まとめと戯言
「人は簡単に手に入るものに興味が湧かない」のは、「簡単に手に入るものは大きなアクションを必要としないため、それを手に入れるために達成感や充実感を感じることができないから」。
「何かを手に入れるための過程が一番楽しい」などとよく言われるのは、その過程にこそ達成感や充実感が満ちているからではないでしょうか。
しかし「では重要なのはその過程における達成感と充実感だけであって、結果として得たものはどうでもいいのか」と言われると、それは違うと思います。
結果として得たものからも、私たちは日々多くのものを得ている(感じている)はずです。
手元にあるがゆえに、それから日々充実感を得るということに慣れてしまい、その充実感に鈍感になっているのではないでしょうか。
手に入ったもの、思い通りになったものに興味を失ってしまうのはあまりにももったいない。
手に入ったもの、思い通りになったからこそ、そこから得られるものは少なくはないはずです。
そんな日々鈍感になってしまっている部分に気づけるような生き方をしたいと、常々思っています。
なかなか難しいですが。
この問いに対する答えは人それぞれ無数にあるのではないかと思います。
「こういう考え方もある」「自分はこう考えている」など、何かご意見ありましたら、コメント欄なりtwitterなりで伝えていただけると嬉しいです。